福岡市 ⇒ 佐賀市 ⇒ 武雄市 視察


ブログの更新ができていない!!ということで
丹野・今井・村上・市位 議員と5人で行った、福岡&佐賀視察の模様を今井議員のHPから 拝借。

広範囲な視察内容でしたが、今後に活かせる有意義なものになりました。

———以下引用———–

朝9時の新幹線で福岡市へ。
昼から福岡市役所にて、港湾局とCITY Wi-Fi、ソーシャルメディア活用について話を伺いました。
特定埠頭運営事業によって、港湾管理を民営化(3セク)に委託して、貸し出し料を徴収する形態で港の運営をしています。

事業開始以来、順調に取引量を伸ばし、貸し出し料収入も上昇しているそうです。
民間の知恵によって、大量利用する顧客には、単価を下げるなどのインセンティブを働かせられるというところが一番大きいように感じました。公営の時には、料金は条例で定める必要があり、経済効果を考えた運営がやりにくかったとのこと。

効果として、行政コストの削減や安定的な歳入の確保をあげていましたが、それ以前との比較資料が無く、どれくらいの効果があったのか見えなかったのが残念でした。
取引量の増大も、地理的条件や時代の流れの影響が大きいというような分析でした。

シティワイファイは先進的な取り組みで、6月29日から市内41ヵ所に拠点を拡大して無料公衆無線LANを提供しています。
観光庁の資料によると、外国人旅行客が旅行中に困ったことの第1位が無料公衆無線LAN環境を挙げており、アジアからの観光に力を入れている福岡市はニーズに対応するために取り組んでいるようです。市長公約でかかげ、広報戦略室をつくり、専門的に取り組んでいるようです。予算額は3000万円で、運用に1000万円、整備に2000万円かかったそうです。今後、利用促進やPR活動をとおして、効果測定・改善が行われていくようです。


佐賀県は発達障害支援のモデル都市になっています。

服巻先生は、中心的に佐賀モデルを作り上げ、1歳6ヶ月検診や発達障害者の方への窓口対応ルールブックの作成、親のカウンセリング、親子療育教室、発達障害向けコースのある高校など先進的な取り組みを推進していらっしゃいます。

大変多忙な中、メールで直接アポをとらせていただいて、お会いすることができました。

発達障害については、様々な自治体で議会の認識が無く予算がつかない為、進展していかないという全国的な現状を伺いました。

全ての部署を横断して連携を取れる場所が必要で、佐賀県では全ての部署で取り組みが進んでいるそうです。子育て支援に関するパンフレットは支援のニーズごとに別々だったものを、ひとつにまとめることにより、親にとって手に取りやすいものに変え、さらには、啓発や気づきのきっかけになるという効果的な取り組みもしています。

発達障害の発生率はアメリカの研究では88人に1人となっているが、実際には2割弱いるのではないかというお話で、制度設計として、ターゲット人口を割り出して予算措置をすることが必要だということでした。

取り組みを始めた10年前はニーズの無い(認識されていない)ところに作ったが、親自身もどんな支援を求めていいのかわからない状態だったので、先駆けて取り組みを進めることにより、成果を上げてきました。

「不登校・引きこもり・家庭内暴力・パラサイト・少年犯罪・ニート」
等の背景に発達障害が隠されていることもあり、一生涯を通じた支援は必要だが、適切な支援を続けていけば、タックスペイヤーとして社会の中で生きられる可能性を伸ばしていけます。

Xメンやハリーポッターの例を出して、発達障害を持つ人たちが置かれている状況を分かりやすく説明していただきました。

役所と日程が合わず、現場を見ることができなかったのが心残りですが、服巻先生のお話を伺った2時間は非常に有意義で密度の濃いものとなりました。

「日本はかつて、自閉症に対する理解が進まず、偏見により精神病院に入れられていた。責めら れるのは本人や親。冤罪で 責められたら暴れませんか?」

相手が置かれている境遇を感じ取ることができるか。そして、それをどう政治に反映するのか。行政を変えられるのは政治です。政治が変わらなければ行政を変えることはできません。責任の重さと専門性を身につける必要性を改めて感じました。

まだまだ、理解が進まず支援も不十分な分野です。発達障害PTとして活動を始めて2ヶ月弱。一歩一歩前進させて、「大阪市モデル」と呼べるような取り組みができるように勉強していきます。

総務省電子政府推進委員、政府情報システム改革検討会構成員、佐賀県統括本部情報課情報企画監の廉宗淳さんのお話を伺いました。

韓国での5年間の研究成果として、ICT機器導入による学力向上の効果は認められなかった。但し、学習意欲が低かった子供たちが意欲を持って学習に取り組むようになった。子供たちの検索能力は向上した。という成果をお聞きしました。

ICT導入による一番の効果は探求能力やプレゼンテーション能力を高められることだそうです。
これまでは、例えば、これまでは、社会の授業などで自治体の産業の特性を学びましょうとなったときに、教科書を読んで、線を引いてノートに書いて覚えて、テストで答えるという形式でしたが、ICT導入によって、子供たちにそれぞれ調べさせて、その結果をプレゼンテーションでシェアをするというプロセスが授業に取り入れやすくなります。

これからは、情報はインターネットで検索をしたり、情報を持っている人にアクセスすればいいという時代です。頭を記憶媒体としてではなく、know where,know whoという風に使う時代になってきているということです。

ただ、ICT導入にはプロセスが必要で、ハードだけ導入してもうまくいかないし、導入の仕方によってはベンダーに不当に儲けさせるだけになり、費用に見合った効果が出せないことも考えられます。大きな予算が動くだけに慎重にプロセスを考える必要があります。

韓国の取り組みで特に面白かったのが、国営塾、公営塾です。民間の優秀な講師に授業をしてもらってそれを動画配信します。年会費が1人当たり3000円で地方部では7割の加入率をあげていて、立派な収益事業にもなっているそうです。また、オンライン環境も国が整えているため、経済格差による教育格差の是正に大きく貢献しているとのことです。

教育はどこまで民間が担い、どこまで公が担うのか。しっかりと考えなければなりません。教育の機会均等を保証するのは公の役割ですが、どのようなアプローチが最適なのか、今一度吟味する必要があります。

すごく熱い思いを持った方で、いい刺激を受けました。
ICT化は時代の流れ。しかし、導入の仕方によっては効果が出ない。
大きな予算も必要。
やるからには最大限効果を出せるアプローチを考えていきたいです。

服巻先生といい、廉さんといい、プロフェッショナル意識を持って仕事をされている方のお話は大変勉強になります。僕も、自信をもってプロだと言えるような専門性を身につけ、市民の皆さんの期待に答えられる改革を進めて行きたいです。

武雄市の視察も有意義なものとなりました。

1泊5700円で朝食バイキング付きという、お得なホテルを村上栄二議員が抑えてくれていました。視察の目的はあくまで、政治・行政の勉強、他の自治体の現場を見て、当事者に話を聞き、市政に反映させていくことです。安い宿でも寝られれば十分です。

さて、行政対応は午後~の予定でしたので、噂の図書館を見てきました。
まだ、CCCが改装をする前なのですが、広くて清潔で、素晴らしい図書館でした。
来年4月からは、CCCが指定管理に入り、カフェや販売も含めて図書館の運営をするみたいです。
チャレンジングな取り組みですが、非常に魅力的で可能性にあふれる取り組みなので、是非大成功を収めて欲しいと思います。

それでは、武雄市役所ヒアリング内容をまとめていきます。

「ソーシャルメディアの活用について」
・「つながる」をキーワードにしたまちづくりを展開しており、その核となるのが、facebook。
・facebookは個人情報が出ているので、ツイッターに比べて前向きな議論がしやすい。
・facebookは登録しておけば市の発信情報をリアルタイムで受け取ることができ、要望や意見を即座 に出すこともできる。→職員は即座に対応しないといけない→鍛えられる
・使える人はまだ一部だが、無料のパソコン教室を開いて利用者を増やしている。
 (県の緊急雇用制度を使い、民間委託で講座を開いている)
・「実名制」「オープン制」「多様性」が強み。
・全職員が登録している。
・イニシャルコスト60万円。ランニングコスト200万円/年。

「図書館のTSUTAYAへの業務委託について」
・カフェを入れる。
・ポスト投函返却。
・365日朝9時~夜9時会館。
・予算も1割圧縮。
・利用履歴は一切外にはでなく、表示されるのは会員番号とポイントのみ。
・6年前からTSUTAYAをモデルにするように教委に指示→遅々とした歩み→市長が直でアプローチ →社長と会って合意という流れ。
・指定管理の期間は5年間。

「学校教育のICT活用」
・ホワイトボード型の電子黒板とIPadを活用している。
・パソコンを入れた時と比べると先生たちの受けがよかった→準備に手間がかからない。
・活用例は、ウェブ検索やドリルアプリ(国語、算数、理科、社会)
・月一回の職員会議の最後の30分はICT研修を行なっている。(定例化)
・校務支援ソフトの導入で教員間、学校間の情報伝達や資料提供がしやすくなった。

「マイ図書館(電子書籍貸し出し)について」
・複製防止機能が備わっていて、アイチューンズストアで入手できる(武雄市民対象)
・著作権がネックでコンテンツの充実は今後の課題。
・アンドロイドとアイフォンには対応している。
・貸し出し機関は15日で自動的にアプリから消えるようになっている。

「議会のICT化について」
・定例会はUstreamでライブ及び録画は委員(広報課が市長の支持で進めてきた)
・議場にモニターテレビを導入し、写真の表示やパワーポイントを活用して質疑をしている。
・2日前までにはデータを事務局に提出する。
・今後議場のWiFi化、ペーパーレス化、配付資料の電子化に取り組んでいく。

樋渡市長はあいにく出張中でお会いすることができなかったのですが、現場の雰囲気を感じることができました。普段は、市長自ら役所内を回り、チェックとアドバイス(ダメだし)をやっているそうで、職員は緊張感を持って仕事にあたっているようです。

先進的な取り組みを次々試していく市長に対して、抵抗感を持っている職員もいるようですが、議会の大半が市長シンパであり、職員数390名というコンパクトな体制がスピード感を生み出していると感じました。

やはり、ツタヤ図書館は面白いです。予算削減効果+賃料収入で自治体の負担はかなり軽減されるようですし、市民にとっては質の高いサービスを享受できることになると思います。
実際に走らせて見なければ、どのような問題点が浮かび上がってくるか分かりませんが、成功を収め、全国に広がると面白いと思います。
図書館が地域活性拠点・知識創造拠点・異年齢間の交流拠点として充実されていくのではないかと思い、大いに期待が持てました。

今後も、武雄市は要注目ですね。

<福岡市・佐賀市・武雄市 視察模様>
福岡市役所
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武雄市議会
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武雄温泉
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