大阪における大都市制度についての考察


参議員選が始まり、本部での事務・地元での活動・大学院のレポートなどに追われているうちに最低一か月に1回のブログ更新が出来ていなかったので、急遽更新!!
っということで、せわしい状況下ですので、今回はレポート作成過程で考察した都市制度に関しての見解で勘弁して下さい!!というか、まだラフ案なので緻密ではないですが、私の考えも是非読んでご理解頂ければという思いで載せます。

他にも、今後どしどし、学んだことや私の考えをアウトプットしていきますので、HPの研究・レポートの欄をご覧頂ければと思います。
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大阪における大都市制度についての考察  

守島正

 これまで、都市行政学の研究者において、コミュニティー区域と行政区画に対して、一致させるべきという伝統的な考えの中、大都市においては、都市化の進展の中でこの考えが通用するのかどうかという様々な研究・アプローチがなされ、大都市圏における都市圏域・コミュニティー区域・行政区域に対する対立が健在化していたように、大阪においても、都市圏域の広がりを受けて大阪市の広域的な事務・権限を府に移管すべきという意見、いわゆる大阪都構想と、補完性・近接性の原理を念頭に大阪市ができるものは大阪府から事務・権限を移管するという意見、いわゆるスーパー政令市等の構想の対立が顕在化していた。
 こうした状況下、長年進展しない大都市圏域問題に対して、大阪府における橋下徹知事や大阪維新の会の誕生後、大阪都を作り広域行政の一本化と基礎自治体の再編を図るという政治勢力が大阪市という既存の自治体を保守・強化したいという政治勢力を選挙で制することで一定の力を持ち、国において大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令 いわゆる都構想法案が成立するに至り、大阪府・大阪市特別区設置協議会がスタートするなど大阪都構想(以下:都構想)へ進む基盤が整えられていった。
 しかし、その後 内閣府の審議会であり、西尾勝氏が会長を務める地方制度調査会(地制調)において、大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供大成に関する答申が作成・提出され、この内容が二重行政解消のために都道府県から政令指定都市への事務移譲を推奨し、実質的な特別市(仮称)に近づけることを目指す内容だったことから、各新聞社は、大阪都構想に歯止めがかかったという記事を掲載した。
 このことに関しては、政令指定都市の市長会会長が、「今後政府においては、これらの考え方に基づいて、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を迅速かつ確実に進めていただきたい」という談話を発表したように、政令都市市長会は特別自治市という政令市に広域自治体の昨日を付加した大都市制度を目指しており、地制調答申は、大都市自治体の望む方向性のものであったと言える。
 指定都市市長会などが、特別自治市を求める理由として、大きな概念となっているのものが、補完性・近接性の原理による住民に近い基礎自治体優先の原則という考えがあるが、ここで そもそも補完性の原理とは?政令指定都市は、住民に近い基礎自治体なのか?という大きな疑問にぶつかる。
 まず補完性の原理について、この起源をたどるとカトリック教会の社会教説、具体的には1891年の教皇レオ13世の回勅『レールム・ノヴァールム』(『新しきことども』)にたどりつくが、このときは、政府がすべてをコントロールするのではなく、かといって個人にすべてが任されるのではないという意思を示したものであり、この考えの基本には「個人の尊厳」を守るというものだと考える。
 補完性の原理の解釈を論点にするつもりはなく、地方分権は進めていくべき方向性だが、元来、近世の国家の法治機能が未整備な状況下において個人の尊厳を守るとしたものが補完性の原理であり、指定都市市長会のいう、補完性の原理により基礎自治体に権限と財源を確保されることが必要という認識まで飛躍することには違和感を覚える。
 財源や権限が担保されれば基本的にはかなりの事務を基礎自治体は担うことができ、例えば二重行政の一つとも言えるもので大型公共施設があげられるが、大阪市が広域的な観点も含めて、WTC・ATC・海の時空間・オーク200・ワインミュージアム・青少年センター・舞洲スポーツアイランド・オスカードリーム・フェスティバルゲートなどに次々と投資を行い、破たんさせてきた現実を見て、果たして基礎自治体が行うべき事業であったと言えるのであろうか?補完性の原理の下、基礎自治体ができることは財源も含めて基礎自治体優先という考えは通用せず、規模や範囲の経済・行政の効率性という物差しを外して盲目的な理念とするべきではないと考える。
 次にそもそも政令指定都市が基礎自治体かという疑問に対しては、言わずもがな、住民に近いコミュニティー区域は政令指定市域ではなく、その中における行政区域が近いと考えるが、補完性の原理であればより住民に近い行政区に権限・財源が投入されるべきが、政令指定都市においては行政区独自の権限は希薄であることからも、指定都市市長会の意見は矛盾を生んでいる。

こうした私の、指摘に対しては地制調の答申においても、二重行政解消のため、自治体間連携や都道府県と指定都市の政策調整協議会設置の必要性 また、住民に身近な行政サービスということで都市内分権による行政区の独自予算・権限や地域協議会・地域自治区活用といった指摘をしており、その点では、此度の地制調答申は現在の政令市制度を是として傾倒しているわけではおらず、大都市特別区設置法(都構想法)にも留意点などを明示し、一定中立の立場をとっている。

しかし、地制調の答申に対して私が主張したいことは、自治体連携・政策調整協議会といった方針は、先述したような規模や範囲の経済・行政の効率性という物差しにおいては、必ずしも最適解に近づくとは言えず、むしろ遠のく場合が多いということ、つまり自治体や住民のエゴによる囚人のジレンマが発生するという考えが抜けており、また行政区の独自予算・権限や地域協議会・地域自治区活用といった方針は、住民意思の反映による民主主義の実現や民主主義は基本的には間接的に実現されるべきという考えが抜けているという点である。

 まず、自治体連携や政策調整協議会のような自治体同士の調整機能に関してだが、大阪ではそもそも自治体のエゴにより不経済を招いており、例えば水道事業統合において大阪府内各市町村のエゴにより、府内で取水~供水まで一体経営する方がコストに関しては必ずメリットが見込めたとしても、自己水などの独自資産を持つ自治体はそれを譲渡することはなく、水道事業統合がなされていない現状を見れば分かり易いが、 それ以外にも、地下鉄・病院・公共施設など様々なところで、自治体のエゴによる不経済は発生しており、自治体間の調整においては囚人のジレンマは必ず付きまとうと考える。
 そのため、経営的な観点が強い事業においては、広域化や民営化を進める方針の方が自治体間連携や政策調整協議会よりも効率的に投資・運営されるものと考える。

 次に、都市内分権についてだが、行政区に独自予算や権限をもたせるべきとするものの、行政運営の強化策として、区地域協議会・地域自治区活用を活用すべきと地制調の答申にはあるが、私自身がこれまで見てきた区地域協議会や区政会議では構成員は行政運営に対して素人である上、公選で選ばれず任命権者が市長や区長であるためとても行政運営を強化し、独自予算の執行を裏付けるような機関とはなり難い。
また都市内分権は住民に身近なという観点で重要だが、行政区が独自予算や権限を持つ場合、住民意思の反映が全くなされないのであれば民主主義の否定ということになるので、民主主義の実現のために少なくとも区長公選等による住民意思の反映はなされなければならないと考える。
区地域協議会などが住民意思の反映という意見に対しては、例えば住民が直接意思を反映させることで、参加しているマイノリティーの意見や住民のエゴに行政運営が左右される可能性があるため、基本民主主義は間接的に達成するべきで、住民に選ばれた人間が責任をもって行政運営を行うべきであり、おそらく住民全員が事案について詳細まで調べることは事実上不可能な中、間接的に選ばれた人間が情報収集し決断しなければ、行政区合併などの重要事案の意思決定はできない。

これまでの指摘から、都構想は広域的事業・経営的観点が必要な事業を恒久的に自治間のエゴから脱却させ、効率的な運営を行えることと、住民に近い自治体への権限移譲を図りながら住民意思を間接的に反映させるという点においては、政令市の権限強化よりも優れていると考える。
 しかし、地制調の答申における留意事項として、事務分担・財政調整・財産/職員の移管などの課題もあり、もしこれが解消できたとしても、役所再編による移行コスト・特別区議会設置運営コストといった問題は残る
 私自身は、二元代表制や地方議会を設置することは効率的な行政運営ではないと考えているため、都構想で特別区設置により議会設置・議会運営コストが増加するというのは避けるべきであり、特別区議会の在り方は従来のような非効率・非生産的な議会では意味がないため、地方自治法改正や例外規定も含めた議論をすべきであると考えるが、事実上の役所再編コスト・特別区議会コストはかかり、この点では政令市への権限移譲の方がデメリットは少ない。

これまで述べたように、大阪においては都構想や政令市の権限強化にはメリットデメリットが共に存在するが、自治体の効率運営や住民意思の反映のために、府市統合本部のような政策調整機能が恒久的に担保され、行政区の合併・行政区への権限移譲・区長公選等が実現されるのであれば、役所再編コスト等が必要ないため、大阪府・大阪市という役所が継続して存在してもよいとも言える。
しかし自治体の強力なエゴが発生する中、自治体間の政策調整機能や権限移譲が恒久的に担保されるということは考え難いため、それを担保するために都構想のような役所の再編を根本的になさなければならないとも考えられる。
結論として、経営人モデルにおいて、判断基準に所属する自治体のバイアスがかかることは避けられないため、必ず不効率は発生してしまう中、そうしたデメリットと、役所の再編に係るデメリットを対比して考えるべきであり、どちらの結論にしても囚人のジレンマからの脱却が大阪における都市制度の進むべき方向性であると考える。


参考文献


指定都市市長会(2011.7.27)「新たな大都市制度の創設に関する指定都市の提案
~あるべき大都市制度の選択「特別自治市」~【詳細版】」37pp

西尾 勝(2012)「都市・都市問題・都市政策――「都市理論」の混迷」、新藤宗幸・松本克夫編『雑誌「都市問題」にみる都市問題Ⅱ 1950-1989』、岩波書店

第30次地方制度調査会(2013.6.25)「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービスの提供のあり方に関する答申」20pp

<大阪市の景色>
恰好いい街!もっと恰好よくするためがんばります!!
大阪city

<たまたまあった格好つけた写真>
ということで自分も研鑽し、恰好つけていきます☆
上を向いて


<東徹街宣活動>
もちろん参院選も重要ですので、日本維新の会の東徹候補をよろしくお願いします。
東徹 街宣